ヒーリング・フィクション

2025年02月19日

【オーナーは軽く頬杖をついて、遠くを見やるように言った。
「よく、人生は一度しかないから思いっきり生きよう、って言うじゃない。私はあれ、なかなか怖いことだと思うのよね。一度しかないって考えたら、思いっきりなんてやれないわよ」
意外に思って私は目を見開く。
「私、オーナーって、思いっきり生きてる人だと思ってました」
するとオーナーは、少女みたいに楽しそうに笑った。
「もちろん思いっきり生きてるわよ。でも私は、人生は何度でもあるって、そう思うの。どこからでも、どんなふうにでも、新しく始めることができるって。そっちの考え方のほうが好き」
私は納得する。それなら彼女らしい。とても。
オーナーは自分を抱くようなしぐさで両腕をつかむ。
「ただ、人生は何度でもあるけど、それを経験できるこの体はひとつしかないのよね。だから、なるべく長持ちさせなきゃ」】

青山美智子さんの『赤と青とエスキース』の一節です。今の私には心動かされるくだりです。
メルボルンで若手画家によって描かれた「エスキース(下絵)」が日本へ渡り30年の歳月の中で物語を紡ぎます。
さすがの青山さん。期待どおりの話でした。温かい気持ちにさせてもらいました。

猫や図書館、カフェなどを題材にした物語は「ヒーリング・フィクション」と呼ばれるそうです。青山さんのこの作品はどれも出てきませんが(喫茶店は出る)同じ範疇に入れてもいいんじゃないかな。彼女の他の作品にはカフェや図書館がよく使われています。

最近は優しい気持ちにさせてくれるものを求める傾向にあります。小説を読むときくらいは心穏やかに過ごしたいですからね。

ちょっと毛色は違うんですが千早茜さんという作家さんに出会いました。書店で偶然にです。ひさびさに本に呼ばれた感がありました。『胃が合うふたり』という新井見枝香さんという方との共著です。千早さんの経歴を見ると「北海道生まれ。立命館大学卒業」とあるのにも引かれました。期待にたがわずおもしろいです。幸か不幸か時間はたっぷりあります。楽しませてもらいます。

娘が送ってくれた鍋スープ第一弾です。

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「緑養なべ」です。文字どおり「緑」です。ホウレンソウやセロリが色の素でしょうか。
和漢素材として百合根、クコの実、青みかんの皮、山椒、緑胡椒が入っているようです。
身体によさそうです。元気になりましょう。

あすは病院。たぶん輸血です。愉快ではありませんが止む無し。