相田みつおさん
2010年02月11日
雨に降りこめられる形で読書しました。
相田みつおさんの『いちずに一本道 いちずに一ツ事』です。
彼には「あんちゃん」が二人いたそうです。その二人は戦死です。出征の折それぞれに氏にこんなことばを残したそうです。
「どんなにひもじくても、卑しい根性にはならないでくれ。貧すれば鈍すると言うけれども、貧しても鈍しないでくれ」今ひとりは
「同じ、生きるんだったら、少しでも、世の中に役に立つような生き方をしてくれ。そして、どんなに苦しくても、音を上げちゃいかんぞ」と。さらにうちひとりは、死ぬ間際こんなことばも残したそうです。
「ー前略ー死んでゆく自分はいいけれども、両親や弟妹たちの嘆き悲しむ様を想(おも)うとそのことが一番つらい」
自分が死のうという時に、あるいは生きて帰れないであろう出征時にこんなことばを身内に残せる人が今の世にどれくらいいるでしょうか(俺は無理やな。というか、そんな生き方できてへんやろし)。
残す残さないは置くとして、よほどしっかり生きていなければ、言葉に重みはなく空虚なだけでしょう。自分たちの人生を犠牲にして弟妹のために職人として懸命に働いてきたという事実があるからこそ心に響いてきます。
いくつか転載させていただきます、彼の思いを。
「ボロは 最初に 見せておけ そうすれば いつでも 天下太平だ」
「昨日は過ぎてしまってもうない 明日はきてみなければわからない たいせつな事は今日只今の自分自身が どう生きているかということである 武井哲應禅師の教を書く」
「せのび 背のびする じぶん 卑下する じぶん どっちも やだけど どっちも じぶん」
簡単な身近な言葉の中に彼の生に対する考えの深さを感じます。人間の弱さをさらけ出す、彼の書に不覚にも一度ならず涙がこぼれました。
今一冊は太田和彦さんの『居酒屋道楽』です。過去に何冊か彼の著書は読んでいます。全国の居酒屋を巡ってそのレポートを書くという羨ましいお仕事をなさっています。
読んでいると旅に出たくなりますね。
大学生のころ列車の待ち時間で入った函館の居酒屋、というかおば(あ)ちゃんが一人でやっている飲み屋のビールの苦さ(若くて場慣れしてなくてドキドキで入った店です。今でも初めての店に一人で入るにはかなりの逡巡があります)と、さんまだったかの焼き魚のうまさは舌に残ります。
見知らぬ地、初めての土地で接するものには感動が伴います。同じ生きるなら日々心動かされることに出会いたい、と思う私はぜいたくでしょうか。
食通を気取るつもりはさらさらありません。その地で普通に食されているものを普通に味わいたい気持ちです。酒も格別に吟醸とか大吟醸じゃなくても(っていうか、そんなんわからへんしね。)まったく問題ありません。地の人が当たり前に飲んで食べているものをその地で味わいたい気持ちが沸々とわいてきます。時間とお金に余裕ができればまたふらりとどこかをさまよいたいものです。
さて今日はゆっくりしました。明日からはまたけっぱらねば、ね。